走者一塁で投手はセットポジションから投球してきましたが、完全な停止を怠っていたので、球審はボークを宣告しました。ところが、打者はこの投球を打ち、見事なホームランを放ちました。ところが、その前にボークが宣告されています。このホームランはどうなるのでしょうか。 投手がセットポジションから完全な停止を怠って投げてきたときは、完全にボークとなります。
規則6.02(a)の(13)にも
「投手がセットポジションから投球するに際して、完全に静止しないで投球した場合」 にはボークとあります。
ただし、(13)には
「ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達し、かつ、他のすべての走者が少なくとも1個の塁を進んだときには、このペナルティの前段(ボールデッドとなること)を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる」 とあります。
本塁打を打ったときは、打者および走者が無条件に一個以上の塁が進めるのですから、ボークと関係なくプレーは続き本塁打は生きるのです。
しかし、この規則ができたのは1954年のこと。それまではボークと宣告された投球を打ったときには、なにがなんでもボーク優先とされていました。実際に51年6月27日に大阪球場で行われた
阪神-松竹戦では、次のようなことが起こっています。
2回の阪神攻撃。
駒田桂二投手が一死一、三塁でホームランを放ったのですが、その前に松竹の
林直明投手が完全な停止を怠っていました。これに対し、ボークの宣告がかかっていたのです。そのため、駒田は泣く泣く打ち直しに。今回の質問の答えは「ホームランが認められる」ですが、規則ができる54年以前は、「ボークが優先」されていたのです。