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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

高く上がったフライを守備側の選手が帽子で捕球を試みて失敗したあと、打者走者にタッチした場合、アウトは成立する?

 

プレーボール直後の第1球を打った打球は、頭上に上がった高いフライです。茶目っ気のある投手が自分の帽子を脱いで、その帽子でボールをキャッチしようとしましたが、目測が外れ、ボールはそのまま足元に落ちてしまいました。すぐに拾い上げて打者走者を見ると、二塁へ向けて走っているので、投手はボールを二塁へ送球し、タッチアウトになりました。このアウトは正当なアウトとして認められるのでしょうか。

 はじめに投手が帽子を差し出してつかもうとしましたが、ボールには触れなかったのですから、プレーオンでそのまま続きます。従って、その後、(打者)走者が触球されたのであれば、アウトは通常どおりに成立します。

 規則5.06(4)(b)の(B)には3個の塁が与えられる要件として、

「野手が、帽子、マスクその他着衣の一部を本来つけている個所から離して、フェアボールに故意に触れさせた場合」

 と定めています。

 つまり、このケースのように投手が脱いだ帽子でボールを捕球しようと試み、仮に捕球していた場合には、打者には3個の塁(記録上は三塁打となる)が与えられますが、ボールに触れなかったのですから、この規則は適用されません。質問の方はこの規則の解釈が引っ掛かっていたのでしょう。

 仮に帽子でキャッチして三塁打になっても、守備側のスキを見てさらに走り続けるのも構いません。ただし、三塁までは安全に進めても、それ以上は(打者)走者の責任ですから、アウトになればそれまでです。

 5.06(4)(b)の(B)の後段には

「この際はボールインプレイであるから、打者はアウトを賭して本塁に進んでもよい」

 とあります。繰り返しますが、もしアウトになっても、それは(打者)走者の責任ということです。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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