週刊ベースボールONLINE

よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

走者一、二塁で打者がボテボテの三塁ゴロ。明らかに打者走者はセーフのケースでも、この打球に走者が触れるとアウト?

 

走者一、二塁で打者は三塁線に力のないゴロを打ちました。三塁手は深く守っていたので、タイミング的には内野安打になる可能性がありましたが、三塁ベースに滑り込もうとする二塁走者が、この打球を蹴飛ばしてしまいました。完全に安打になるという打球に触れたときでも、走者はアウトになるのでしょうか。

 このケースでは、やはりアウトは成立します。

 走者アウトを規定している規則5.09(b)の(7)にはこうあります。

「走者が、内野手(投手を含む)に触れていないか、または内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールに、フェア地域で触れた場合。この際はボールデッドとなり、打者が走者となったために次塁への進塁が許された走者のほかは、得点することも、進塁することも認められない」

 とあります。

 この規則には打球が内野安打性の場合の例外についてはどこにも述べられておらず、前記の条件に該当する打球に触れた走者は、あくまでもアウトなのです。

 質問と似たケースで有名な話が、ワールド・シリーズで起こっていました。1955年のワールド・シリーズはドジャースとヤンキースの間で争われましたが、ともに3勝ずつを挙げて迎えた最後の第7戦の3回裏、ヤンキースの攻撃のことです。二死一、二塁でヤンキースはマクドガルドが三塁線へ勢いのないゴロを打ちました。

 誰の目にも安打になると見えた次の瞬間、三塁ベースに滑り込むリズトーがこの打球に触れてアウトになり、スリーアウト。無得点です。

 この試合、ヤンキースはドジャースに0対2で敗れ、優勝を逃したのですが、ヤンキースにとって先制のチャンスを逸したこのリズトーの痛い走塁は、いまだに語り草になっています。
よく分かる!ルール教室

よく分かる!ルール教室

元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング