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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

KOされた先発投手がその後、ブルペンで練習。これを見ていた球審がその練習をやめさせたのはなぜ?

 

先発させた投手が試合の序盤にあっさりとKOされたため、監督はその先発投手にブルペンへ行き練習をするように命じました。その投手がブルペンで練習を始めると、球審から「ここで練習はできない」と練習を止められました。どうしてでしょうか。

 一度、その試合で投げている投手だからです。野球規則5.10ではプレーヤーの交代について述べられていますが、その【原注】に次のようにあります。

「試合から退いたプレーヤーは、ベンチに入って、そのチームとともに残ることはできる。また、投手のウォームアップの相手をすることもできる。プレーヤー兼監督が控えのプレーヤーと代わって退いた場合、ベンチまたはコーチスボックスから指揮を続けることはできる」

 つまりKOされた投手に限らず、いったん交代を命じられベンチへ下がった選手は、投手がウォームアップするときの捕手役を務めること以外は、グラウンド上に姿を現してはならないのです。

 金田正一監督時代のロッテであった話です。1978年3月14日の中日対ロッテのオープン戦で、先発した監督の実弟・留広(金田留広)投手が2回裏に8点を奪われてKOされたとき、兄に命じられブルペンへ行き練習したことがありますが、オープン戦だから許されたことです。しかし、最近のようにブルペンが審判の目の届かないところにある球場が多いと、どこまでこの規則が守られるか心配になります。例えば東京ドームのブルペンはスタンドの下にあります。審判の目が届かない所にブルペンがある球場が多いようです。

 メジャー・リーグの球場のブルペンは、ブルペンの場所はさまざまですが、審判の目が届くところです。そのアメリカの常識に基づいた規則がどこまで守られるか、気になるところです。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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