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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

無死一塁でゴロを捕球した一塁手が二塁へ送球し、二塁封殺の後に、一塁カバーに入った投手と打者走者が衝突。走塁妨害で封殺も無効になる?

 

無死一塁で打球は一、二塁間へ転がりました。一塁手がゴロを捕球し、二塁へ送球して一塁走者を封殺しましたが、その直後に一塁ベースカバーに入るために走ってきた投手と打者走者が衝突しました。2人ともその場に倒れ込み、起き上がれません。ここで攻撃側は走塁妨害を申し立て、二塁の封殺を取り消し、走者一、二塁にすべきだと主張してきました。判定はどうなるのでしょうか。

 野球規則の定義51に記されている『オブストラクション』はこう定義されています。

「野手がボールを持たないときか、あるいはボールを処理する行為をしていないときに、走者の走塁を妨げる行為である」

 したがって、投手は走塁を妨害したことになります。打者走者が走塁妨害を宣告されれば、ボールデッドとなり出塁を許され、一塁走者は二塁へ進塁できます。6.01のオブストラクションに詳しく述べられ(h)<7.06>の【注4】には、こう書かれています。

「たとえば、走者一塁、打者が一ゴロしたとき、ゴロをとった一塁手は一塁走者をフォースアウトにしようと二塁へ送球したが、一塁へ向かっている打者と一塁へ入ろうとした投手とが一塁の手前で衝突したような場合、審判員が投手の走塁妨害を認めれば、オブストラクションを宣告して、ボールデッドにする」

 ただ、走塁妨害以前に走者が封殺されていた場合は、こう記されています。

「オブストラクションより二塁でのフォースアウトが先に成立していたと判断したときには、打者走者の一塁占有を認めるだけで、一塁走者の二塁でのフォースアウトは取り消さない」

 つまり、走塁妨害よりも封殺が先か、後かがポイントになります。したがって、走塁妨害よりも封殺が先だった今回のケースでは一塁走者の封殺は取り消されないのです。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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