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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

フライアウトになった打者が本塁付近で送球に当たったために三塁走者が生還した場合どうなる?

 

一死一、三塁で打者は一塁後方へのファウルフライでアウトになりました。フライを捕球した一塁手は三塁走者の本塁突入を阻止する意味でホームに送球しましたが、まだ本塁付近にいた打者に当たり、これを見た三塁走者はホームを踏みました。この場合、得点は認められますか?

 認められないどころか、このケースでは三塁走者に守備妨害によるアウトが宣告され、3アウトで攻守交代となるでしょう。打者または走者の妨害を定めた野球規則6.01(a)(5)には次のように記されています。

「アウトになったばかりの打者または走者、あるいは得点したばかりの走者が、味方の走者に対する野手の次の行動を阻止するか、あるいは妨げた場合は、その走者は、味方のプレーヤーが相手の守備を妨害(インターフェア)したものとして、アウトを宣告される」

 つまり問のケースでは、アウトになった打者が、故意でないにしろ送球に当たり、三塁走者の進塁を助けた、つまり守備側の行動を妨げたことにより、規則中の“その走者”にあたる三塁走者にアウトが宣告されるのが妥当です。

 (a)(5)の【注】には“その走者”について次のように触れられています。

「本項を適用するにあたって、2人または3人の走者がいる場合、妨げられた守備動作が直接1人の走者に対して行なわれようとしていたことが判明しているときは、その走者をアウトにし、どの走者に対して守備が行なわれようとしていたか判定しにくいときは、本塁に最も近い走者をアウトにする」

 問と同様のプレーが2016年5月27日のMLBのアスレチックス対タイガースで起こっています。このときは一死一、三塁から一塁ファウルフライに倒れた打者が下を向いてトボトボと引き揚げているときに送球に当たり、ホームを狙った三塁走者にアウトが宣告されています。珍しい併殺ですね。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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