走者二塁で打者は右前に安打を放ちました。前進守備の右翼手が猛ダッシュで捕球し、返球の構えに入ったのを見て、三塁ベースコーチがストップの指示を出しましたが、三塁を蹴っていた二塁走者の勢いは止まりません。ここで三塁ベースコーチは身を挺して二塁走者を止め、何とか三塁でとどめることができましたが、三塁塁審が走者にアウトの宣告です。なぜでしょうか。 三塁ベースコーチが走者の三塁帰塁を援助したからです。これは“ベースコーチの肉体的援助”として野球規則で禁止されています。妨害・オブストラクション・本塁での衝突プレーを定めた野球規則6.01の(a)(8)には
「三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れるか、または支えるかして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、肉体的に援助したと審判員が認めた場合」、走者によるインターフェア(守備側への妨害)が宣告されるとしています。質問のケースは、ホームに突入すれば走者がアウトになると判断した三塁コーチが「身を挺して」ストップさせたわけですから、明らかな肉体的援助で、インターフェアと判断されて当然でしょう。
似たプレーが昨季のプロ野球でもありました。5月19日の
西武対
ソフトバンク[メットライフ]、4回表ソフトバンクの攻撃のときです。二死二塁で打者・
中村晃が右前打を放った際、二塁走者・
デスパイネが一気に本塁に向かおうとしましたが、
村松有人・三塁コーチはストップの指示。それでも止まらないデスパイネを村松コーチは避けようとしたものの、結果的に三塁線上で2人は接触して、この行為が肉体的援助と判断され、デスパイネにアウトが宣告されました。
なお、本塁打の際のベース一周中のハイタッチは肉体的援助には該当しません。[文責=編集部]