無死二、三塁で攻撃側はスクイズを仕掛けましたが、打者が空振りをし、飛び出した三塁走者が三本間で挟まれました。このとき二塁走者は三塁走者がアウトにされると思い、自分は生きようと三塁に到達。三塁ベースに触れたまま(体は二、三塁間)ことの成り行きを見ていましたが、三塁走者がランダウンプレーをかいくぐり、守備側のタッチを避けて三塁ベースに帰塁。この際に、勢い余って左翼線方向に踏み越えてしまいました。これを見た守備側の選手は三塁走者にタッチしましたがこの場合の判定は？

　三塁ベースに到達していた二塁走者、守備側にタッチされた三塁走者ともにアウトで、ダブルプレーが成立です。

　ベースを離れた三塁走者はまだしも、三塁ベース上にいてタッチされていない二塁走者まで「なぜアウトに？」と思うでしょうが、三塁走者が三塁ベースに触れてこれを越えた瞬間に、二塁走者が三塁走者を“追い抜いた”状態となったからです。

　走者アウトを規定した野球規則5.09(b)(9)には「後位の走者がアウトになっていない前位の走者に先んじた場合。(後位の走者がアウトになる)」とあります。

　2017年度には【原注】として「後位の走者の行動または前位の走者の行動によって、後位の走者は前位の走者に先んじたと見なされる場合がある」の一文が加わり、「例」として問と同様のケースが挙げられています。つまり、この場合、三塁走者が三塁ベースを踏み越えるという行動(前位の走者の行動)によって、二塁走者(後位の走者)は前位の走者に先んじてしまったことになるわけです。

　なお、問のケースでは三塁走者はタッチアウトにされていますが、タッチされる前に再び三塁に戻れば、三塁を占有する権利がありました。補足までに。[文責=編集部]