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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

攻撃側チームの投手が攻撃中にベンチ前で行う次の回の準備のためのキャッチボールが2018年から禁止になるのは本当?

 

攻撃が一死、または二死になると、その攻撃側チームの投手がベンチ前に出て、控えの捕手や野手を相手に投球練習(キャッチボール)を始めるのが、日本では当たり前ですが、2018年から禁止されるというのは本当ですか?

 正確には、野球規則ではずっと以前から「ベンチ前でのキャッチボール」については禁止されており、日本では当たり前になっているこの風景は、実は野球規則違反です。選手会側からの要望などで「投手の(肩、ヒジの)ケガ防止」を優先し、審判サイドが厳格にルールを適用しなかった、つまり、見逃してきたということでしょう。ただし、これは日本独自の習慣で、MLBなど国際舞台では禁じられています。日本からアメリカに活躍の舞台を移したダルビッシュ有選手(ドジャースFA)や、田中将大選手(ヤンキース)なども、渡米直後は「キャッチボール禁止」に戸惑ったと聞きます。WBCでは、普段と同じ感覚でベンチ前でキャッチボールを始めた日本のバッテリーが、ベンチに戻るように注意を受けたこともありました。

 1月11日に行われた規則委員会では、申告敬遠制の採用や、反則投球に関連する項目の削除などとともに、「ベンチ前でのキャッチボール禁止」についても話し合われ、規則5.10(k)

「両チームのプレーヤーおよび控えのプレーヤーは、実際に競技にたずさわっているか、競技に出る準備をしているか、あるいは一塁または三塁のベースコーチに出ている場合を除いて、そのチームのベンチに入っていなければならない(以下略)」

 を順守することが提言されました。「競技に出る準備をしている」選手は、交代出場を通告された選手のことで、すでに出場している選手はベンチに入っていなければならないのです。なお、厳格に適用されるか否かは、今後、再度話し合われるようです。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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