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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

走者一塁で投手のけん制に審判が「ボーク」を宣告。このけん制球が高投となり、一走が二塁を空過して三進した場合、守備側のアピールでアウトになる?

 

一死走者一塁で、投手は一塁にけん制をしましたが、一塁塁審は「ボーク」のコールです。しかし、このけん制球が高投となり、ファウルグラウンドにボールが転々としているのを見た一塁走者は、一気に三塁へ進みました。ところがこのとき、一塁走者は二塁を空過しており、守備側はすかさずアピールです。どのような判定が正しいのでしょうか。(後編)

 前号(3月12日号)ではボークのペナルティについて説明しました。野球規則6.02(a)や【規則説明1】からは、ボークがあった場合、塁上にいる走者にはあくまでも1個の安全進塁権が保障されていて、それ以上の塁を狙う場合に、アウトを賭して進塁することも可能だと読み取れますが、実は違います。

 続く【規則説明2】にはこのことが明記されています。

「(a)項ペナルティを適用するに際して、走者が進塁しようとする最初の塁を空過し、アピールによってアウトを宣告されても、1個の塁を進んだものと解する」

 つまり、ボークのペナルティとして走者には1個の安全進塁権が認められてはいますが、走者の過失によって、この1個目の塁を空過した場合、ペナルティで得られる1個目の塁には到達したものと解釈されるということです。

 質問のケースに当てはめてみると、一塁走者は相手のボークと、同時に起こったミスに乗じて一気に三塁を陥れていますが、二塁ベース空過が明らかで、それを見ていた守備側によってアピールがなされたのですから、このアピールをもって一塁走者の「アウト」は成立するのです。

 ボークによるペナルティを誤って解釈しての走塁ではないのでしょうが、一塁走者はあまりにもお粗末なボーンヘッドだったといえます。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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