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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一死満塁で詰まったハーフライナー(小フライ)を守備側がワンバウンド処理し併殺が完成した。この場合、インフィールドフライではない?

 

一死走者満塁で、打者は二塁手の前にどん詰まりのハーフライナー(見ようによっては小フライ)を打ちました。二塁手はこれを前進してノーバウンド捕球を試みましたが、ギリギリのところでワンバウンドです。各走者は二塁手が捕球すると判断し、ベース近くまで戻っていたので、慌ててスタートを切りましたが、二塁手からホーム、そして三塁へと転送され、併殺が完成し、チェンジとなりました。この場合、インフィールドフライは宣告されないのですか。

 質問では小フライにも見えるハーフライナーとのことですが、審判員がライナーと判断したのであれば、インフィールドフライが宣告されることはありません。野球規則の定義40ではインフィールドフライについて定めていて、

「0アウトまたは1アウトで、走者が一・二塁、一・二・三塁にあるとき、打者が打った飛球(ライナーおよびバントを企てて飛球となったものを除く)で、内野手が普通の守備行為をすれば、捕球できるものをいう」

 と、ライナーは除く旨、明確に記されています。ただ、小フライにも見える打球で、守備側も併殺を狙ってわざとバウンドさせたわけでもなさそうですから、走者にとっては非常に判断が難しかったと思います。

 ちなみに今春のセンバツの智弁学園高と創成館高の試合で同様のプレーがありました。創成館高が1対1の同点に追いついてなおサヨナラの好機だった9回裏一死満塁の場面です。打者は遊撃へハーフライナー(詰まった小フライにも見えました)を放ち、これを遊撃手がノーバウンド捕球をしたかに思われましたが、審判員はバウンドしたとゼスチャー。ホーム、三塁へと転送され、併殺となりました。この場面についてはインフィールドフライ云々よりも、ダイレクトキャッチではないか(つまり誤審)、ということで話題となりましたね。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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