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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

ファウルの打球が直撃、球審が試合続行不可能に。二塁塁審が球審に回り、3人体制で再開されたが野球規則上は問題ない?【前編】

 

2018年5月15日(日本時間16日)に行われたエンゼルス対アストロズ(アナハイム)の3回、大谷翔平選手が打ったファウルボールが球審を直撃し、続行が不可能となり、二塁塁審が球審に回り、3人体制で試合が再開されました。規則上、問題はなかったのでしょうか。

 非常に稀なケースですが、審判員について触れた野球規則8.02(d)には「試合中、審判員の変更は認められない。ただし、病気または負傷のため、変更の必要が生じた場合はこの限りではない」とし、問のようにアクシデントによる負傷では変更が認められています。この試合ではカルブレス球審が試合を退き、バックナー二塁塁審が球審へと回り、球審、一、三塁塁審の3人体制で試合が続行されました。審判員の人数については同8.01(a)に

「リーグ会長は、1名以上の審判員を指名して、各リーグの選手権試合を主宰させる」とあるだけで特に定めはなく(つまり一般的には1名以上いれば試合を行うことが可能)、何人で試合を裁くかは各リーグの取り決めによります。

 NPBではセ・パ両リーグのアグリーメントに予備の審判員1名を含む1試合5名で1クールを構成する取り決めがありますが、MLBでは4人の同一のクルーで1年間をローテーションしており、1人が退場したことで3人シフトとなりました。NPBの場合は予備の審判員が出場することになります。

 2010年4月27日、中日巨人(ナゴヤドーム)では、球審の森健次郎が体調不良(中日・落合博満監督が交代を進言。一旦は交代を断るが、体調がさらに悪化)で交代し、二塁・名幸一明が球審へ、控えの橘高淳が二塁へ入ったことがありました(次号へ続く)。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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