一死満塁で打者は左翼へ高々とフライを打ち上げました。定位置やや後方で左翼手の差し出したグラブにボールが吸い込まれるのを確認し、三塁走者はホームへ、二塁および一塁走者は帰塁です。しかし、次の瞬間、左翼手がこれを落球し、ボールは三塁、二塁へと転送され、チェンジとなりました。なぜですか。 左翼手の捕球が、審判団によって完全捕球と認められなかったからでしょう。アウトについて触れた野球規則5.09(a)(1)の【原注】に打者アウトと捕球について次のように説明があります。
「捕球とは、野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為(中略)。野手がボールを受け止めた後、これに続く送球動作に移ってからボールを落とした場合は、“捕球”と判定される。要するに野手がボールを手にした後、ボールを確実につかみ、かつ意識してボールを手放したことが明らかであれば、これを落とした場合でも“捕球”と判定される」 5月27日の
阪神対
巨人(甲子園)では、完全捕球を巡り一悶着ありました。9点を追う巨人は9回一死満塁から
長野久義選手が左翼へフライを打ちます。阪神の左翼手・
中谷将大選手はボールをグラブにいったん入れたかと思われましたが落球。送球体勢に移ったときの落球にも思われましたが、三塁塁審は「セーフ」のジェスチャーです。
三塁走者はホームインしましたが、ボールは三塁へ転送された後、二塁へ転送。二塁走者のC.
マギー選手、一塁走者の
亀井善行選手は捕球後の落球と判断して帰塁しており、それぞれフォースアウトとなりゲームセットとなりました。
高橋由伸監督がベンチを出て抗議しましたが、判定は覆らず。記録は左翼ゴロ併殺となりました。[文責=編集部]