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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

MLBを中心に極端な守備シフトが当たり前となり、外野手が“5番目の内野手”のように守ることもあるが、守備位置について規則で禁止事項はない?

 

近年、MLBを中心に、データを駆使した極端な守備シフトが当たり前のように用いられています。右打者の際に内、外野手を含めて全体が右寄りに守るようなことはザラで、ときには外野手が“5番目の内野手”のように芝生の内側(つまり土の部分)にいることも。規則上では、守備位置について禁止事項はないのですか。

 確かに近年ではこれまでの常識を覆すような極端な守備シフトを見る機会が多くなりました。

 野球規則では“守備位置”については5.02で次のように触れています。

「試合開始のとき、または試合中ボールインプレイとなるときは、捕手を除くすべての野手はフェア地域にいなければならない。<中略>(c)投手と捕手を除く各野手は、フェア地域ならば、どこに位置してもさしつかえない」

 つまり、守備位置について、捕手以外の野手はフェア地域にいればどこを守っていても問題はないのです。ちなみに、野手が投手の投球前にファウル地域に位置を占めることは、5.02によって禁止されていますが、これに違反した場合のペナルティはありません。ただし、【注】には「審判員がこのような事態を発見した場合、速やかに警告してフェア地域に戻らせた上、競技を続行しなければならないが、もし警告の余裕がなく、そのままプレイが行なわれた場合でも、<中略>すべての行為を無効としないで、その反則行為によって守備側が利益を得たと認められた時だけ、そのプレイは無効とする」とされています。

 ちなみに、“内野5人シフト”で遊撃手が二塁ベース後方に位置し、左翼手が遊撃手の“定位置”に位置したシフトで、この左翼手がゴロをさばいた場合、記録は左翼ゴロとなります(つまりオーダー表の位置どおり)。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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