一死走者一塁で、打者は右翼後方に大飛球です。これを右翼手が捕球しましたが、アウトカウントを勘違いし、捕球したボールをスタンドに投げ入れました。この後、審判員の指示で一塁走者は三塁に進み、二死三塁で試合が再開されましたが、なぜですか。 プロ野球ではファンサービスの一環として、3アウト目のボールをスタンドに投げ入れる行為をよく見かけます。しかし、これはチェンジとなるタイミングだから許されるのであって、1アウト、2アウトならばこのケースではプレーは続行中ですから、そのボールをスタンドに投げ入れてしまうと、走者に進塁が許されることとなります。
ただし、走者は無制限に塁を進めるのではなく、『走者』の『進塁』について触れた野球規則5.06(b)の(4)(G)に、送球が
「競技場内に観衆があふれ出ていないときに、スタンドまたはベンチに入った場合(ベンチの場合は、リバウンドして競技場に戻ったかどうかは問わない)」は、「2個の塁が与えられる」 とありますので、このケースでも一塁走者には2個の塁が与えられ、二死三塁から再開となったのです。
プロとはいえ意外にも頻繁に起こるボーンヘッドで、2016年7月20日には1日に2件もスタンド投げ入れによる“テイクツーベース”が発生しました。1件目が
日本ハムの
西川遥輝選手のミスで、一死一塁で左直を処理した直後に左翼席へ。2件目は
ヤクルトの
雄平選手で、
山田哲人選手が打者の飛球を落球し、ファウルグラウンドに転がったボールをファウルだと勘違いして観客席に投げ入れてしまったものです。ともに当該選手(当然、山田選手にも)に失策が記録され、前者は一塁走者に三塁へ、後者は打者走者に三塁へ(※スタンド投げ入れ時点で一塁に進んでいたと判断)の進塁が認められています。[文責=編集部]