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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一塁手のライナー性の打球の捕球がダイレクトからワンバウンドに覆る 守備側の“リクエスト”はなぜ認められない?

 

9月24日の阪神-巨人戦(甲子園)の巨人の攻撃で、一塁手へのライナー性の打球に対する判定が、ダイレクト捕球からワンバウンド捕球に変わりました。阪神の金本知憲監督が抗議しましたがこれは覆らず、“リクエスト”も認められません。なぜですか。

 このときの状況を整理すると、0対0で迎えた7回表の巨人の攻撃で、無死二塁から阿部慎之助が打ったライナー性の打球を、阪神の一塁手・ナバーロが捕球。一塁塁審の橘高淳がアウトのコールをしたため、ナバーロは飛び出した二走・岡本和真を刺そうとしましたが、送球が反れ、この間に岡本は一度二塁ベースを踏み、三塁に進みました。このとき、阿部はワンバウンド捕球をアピールし、一塁に残ったまま。巨人・高橋由伸監督がベンチを出ようとすると、審判団が集まって協議をし、責任審判の橘高が「ファーストライナーでアウトと判定しましたが、4審判で協議の結果、ショートバウンドのキャッチとし、無死走者一、三塁で再開いたします」とアナウンス。金本監督が抗議しましたが、覆りませんでした。

 そもそもアウトかセーフか微妙な打球で、かつアウトのコールがナバーロを惑わした(セーフなら一塁ベースを踏みに行く)可能性のあるジャッジで、金本監督が抗議をするのも無理はありません。ただし、今季から導入されたリクエスト制度では、次のプレーがリクエストの対象外とされています。

「(1)ストライク判定、(2)ハーフスイング、(3)自打球、(4)守備妨害、(5)走塁妨害、(6)インフィールドフライ、(7)審判員(塁審)より前方の打球、(8)ボーク」。

 今回の一塁へのライナーは、審判員の前でのプレーで(7)に該当するため、リクエストの対象外となりました。仮に、ダイレクト捕球の判定のままで、巨人・高橋監督がリクエストをしても、認められていなかったことになります。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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