10月3日の東京六大学野球・慶大対法大で、同点の8回、慶大一死二、三塁の場面で一ゴロ。三塁走者が三本間で挟まれました。二塁走者は三塁に到達、三塁に戻った走者とベース上で重なった直後、捕手の二塁走者へのタッチは空振りとなり、二塁走者が二塁に戻ろうとしたときに三塁塁審がアウトを宣告しました。この後、試合が中断され、審判団が協議、一死満塁で試合が再開されました。どういうことですか? VTRを確認しましたが、三塁ベース付近での二塁走者への捕手の倒れ込んでのタッグ(タッチ)は空振り。協議の結果、三塁塁審のアウトの宣告が誤審であることを球審が説明しています。この後、法大は抗議をしていますが、納得いかないのは、三塁塁審のアウトの
コールでプレーを止めているので(明らかな空振りですが……)、二塁走者を二塁に生かしてしまったから(一死満塁から再開)でしょう。ちなみに、三塁塁審がジャッジを下すまで時間が掛かり、仮にセーフのコールでも、その間に二塁ベース付近まで戻っていた二塁走者をアウトにすることはできなかったと考えられます。
判定が覆った末に、一死満塁での再開は法大には気の毒ですが、これは野球規則8.01(C)に定められている“審判員の裁量に基づく裁定”
「審判員は、本規則に明確に規定されていない事項に関しては、自己の裁量に基づいて、裁定を下す権能が与えられている」によるものなので、受け入れなくてはなりません。
ちなみに、三塁塁上で三塁走者(ヘッドスライディングで帰塁)と二塁走者(スタンディング)が重なっただけでは追い越しによるアウトとはなりません。前位の走者、つまり三塁走者にこの塁の占有権はありますから、法大の捕手が二塁走者にタッチにいったのは間違った判断ではありません。少し深追いにも感じますが……。[文責=編集部]