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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一死三塁から打者はスクイズも反則打球。打者アウトで二死三塁から再開した。三塁走者のアウトではなかったか?

 

一死三塁から打者はスクイズを敢行し、打球をうまく転がしましたが、この際に右足(右打者)がバッターボックスよりも外に出ていたとして、反則打球で打者アウト。ホームベースを駆け抜けていた三塁走者は、三塁に戻され、二死三塁からプレーが再開されました。以前は三塁走者アウトだったと記憶しているのですが、違いますか?

 質問の方が言うように、かつてはスクイズプレーに伴う反則打球に限って、守備妨害を適用し、無死または一死の場合は三塁走者がアウト、二死の場合は打者アウトとなり得点は記録されませんでした。しかし、この規則は2006年に改正され、スクイズプレーであっても反則打球である場合は打者をアウトとし、三塁走者は三塁に戻されることとなりました。

 関連する規則を紹介しましょう。まずは反則打球について。こちらは“打者の反則行為”について触れた野球規則6.03(a)の(1)に「打者が片足または両足を完全にバッターボックスの外に置いて打った場合」にアウトとすると書かれています。

 ちなみに、これは【原注】「(前略)打者が打者席の外に出てバットにボールを当てた(フェアかファウルを問わない)とき」アウトを宣告されることを述べています。

 また、“ボールデッド”について触れた5.06(C)(4)には「反則打球の場合──各走者は戻る」と記されています。

 今回のケースでは打者がバッターボックスから右足が出た状態でバントをしていますから、6.03(a)(1)の反則打球によって打者アウト。5.06(C)(4)によってボールデッドとなり、三塁走者は元いた塁に戻されたわけです。

 なお、ルール改正により、仮にスクイズプレーを見破られてピッチアウトされた場合でも、打者はボックスから外に出てバットに当てさえすれば、打者はアウトでも三塁走者がアウトになることはなくなったわけですから、規則を知っていれば逆手に取ることができますね。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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