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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

2ストライクから打者が自打球で負傷。打席の途中で代打が起用されたが、この代打が三振を喫した場合、記録はどうなる?

 

10月17日にマツダスタジアムで行われた広島巨人のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで、巨人の阿部慎之助選手が自打球を左ヒザに当て負傷交代。1ボール2ストライクから代打で打席を引き継いだ陽岱鋼選手は、初球(実質4球目)を空振りし、1球で三振に倒れました。しかし、スコアを見てみると阿部選手に三振が記録されています。陽選手の三振ではないのですか。

 このケースでは阿部選手に三振が記録されます。野球規則には“記録に関する規則”も記載があり、“三振”について定めた9.15(b)には「打者が2ストライク後退いて、代わった打者が三振に終わったときには、最初の打者に三振と打数を記録」すると書かれています。問のケースでは阿部選手が追い込まれた後、負傷交代ですから、たとえ代打の陽選手が三振しても、阿部選手の記録となるのです。しかし、仮に陽選手がヒットを打ったら、もしくは三振以外の結果でアウトになったら、どうでしょうか。

 これについては先ほどの規則に続きがあり、「代わって出場した打者が三振以外で打撃を完了した(四球を含む)場合には、すべてその代わって出場した打者の行為として扱う」と定められています。もちろん、1ストライクでの交代であれば、三振を含めてすべて代打で出た打者の記録となります。

 ほとんどレアケースですが、1打席に3人(以上)の打者が代わって出場した場合はどうでしょうか。これについては同規則の【注】に「1打席に3人の打者が代わって出場し、3人目の打者が三振に終わったときには、2ストライクが宣告されたときに打撃についていた打者に、三振と打数とを記録する」と記述があります。いずれを見ても、『三振』に関しては2ストライク目が基準になるということですね。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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