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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一死走者なしでバッテリーがサインを交換。投手がモーションに入ろうとしたところで、球審が「ボール」を宣告しました。なぜ?

 

一死走者なしでバッテリーがサイン交換を終え、投手がモーションに入ろうとしたところで、球審が「ボール」を宣告しました。モーションに不正があったようには見えません。どのようなことが考えられますか。

 投手の遅延行為が考えられます。

 投手について触れた野球規則5.07(C)には“投手の遅延行為”として次のように定められています。

「塁に走者がいないとき、投手はボールを受けた後12秒以内に打者に投球をしなければならない。投手がこの規則に違反して試合を長引かせた場合には、球審はボールを宣告する」

 おそらく問のケースでは、バッテリーのサイン交換にかなりの時間を要したのでしょう。モーションに入った時点ですでに12秒を超えたため、球審が「ボール」を宣告したと考えられます。

 この規則は、無用な試合引き伸ばし行為をやめさせ、試合をスピードアップするために定められたもので、投手の明らかな引き伸ばし行為があった場合には、「遅滞なく球審はボールを宣告する」ことも併記されています。

 この際、バッテリーには「(1)投球を受けた捕手は、速やかに投手に返球すること。(2)またこれを受けた投手は、ただちに投手板を踏んで、投球位置につくこと」が求められます。

 なお、問題の12秒の計測については次のように決められています。

「(前略)投手がボールを所持し、打者がバッターボックスに入り、投手に面したときから始まり、ボールが投手の手から離れたときに終わる」

 走者がいる場合にはこの規則は適用されませんが、常識的な範囲内でプレーが行なわれるのは当然のことです。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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