昨年、オリックスが6月22日のソフトバンク戦(ほっと神戸)での誤審問題で、続行試合の開催を求めて、NPBの斉藤惇コミッショナーに提訴状を提出したというニュースを見ました。その後、コミッショナーが提訴を受理しないと発表し、問題は一応の収束を見せています。なぜNPBは提訴を受理しなかったのですか。 問題の場面を整理してみます。10回二死一塁の場面です。ソフトバンク・
中村晃の右翼ポール際のスタンドに飛び込んだ打球は、一塁塁審がファウルと判定しましたが、その後、
工藤公康監督のリクエストでリプレイ検証を行った結果、審判団は判定を覆し決勝の2ランとなりました。しかし試合後、オリックスの
福良淳一監督の抗議を受け、審判団がオリックス側と再検証し、最終的に誤審を認めました。翌23日、NPBの友寄正人審判長らが、オリックス側に謝罪しましたが、オリックス側は誤審があった場面から試合をやり直すように要望しました。
同26日、NPBは都内で野球規則委員会を開き、野球規則に基づいて続行試合を行わないとオリックス側に回答しました。この場合の規則とは、“プロテスティングゲーム(提訴試合)について触れた”野球規則7.04で、ここには
「(前略)審判員の判断に基づく裁定については、どのような提訴も許されない」とあり、リプレイ検証を経て決勝2ランとした裁定が最終決定であり、これについての提訴は許さないということを示したのです。
納得できないオリックスは、野球協約第20章の第183条
「関係団体等は、コミッショナーに、あらゆる紛争につき裁定を求める提訴をすることができる」に基づいて提訴を行いましたが、「現在与えられているルール、環境ではこういうジャッジをせざるを得なかった」とコミッショナーは受理をしませんでした。なお、野球協約第20章第183条に基づく提訴が行われたのは、78年の江川事件、08年のパウエル二重契約問題以来3例目でした。[文責=編集部]