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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

救援投手に勝利投手が記録される場合のルールは?

 

3対3の同点の5回表、一死でAチームの先発投手が3人の走者を残して降板しました。2番手となる救援投手が2点を失ったものの(※失点が降板した先発投手に記録されることは理解しています)、後続を断ち、その裏の攻撃でAチームが3点を奪い逆転に成功です。2番手投手は6回表の開始前に交代、残り4回を3人の継投で逃げ切りましたが、勝利投手は3番手の救援投手に記録されています。勝利投手は逆転したときの投手(=2番手投手)ではないのですか?

“勝投手・敗投手の決定”について触れた野球規則9.17(a)には確かに「ある投手の任務中、あるいは代打者または代走者と代わって退いた回に、自チームがリードを奪い、しかもそのリードが最後まで保たれた場合、その投手に勝投手の記録が与えられる」とありますが、これにもさまざまな制約があります。

 救援投手に勝利投手の記録が与えられる場合に関しても、同じく9.17に定められていますが、そこには(b)に「救援投手に勝投手の記録が与えられる場合は、救援投手が1人だけであればその投手に、2人以上の救援投手が出場したのであれば、勝利をもたらすのに最も効果的な投球を行ったと記録員が判断した1人の救援投手に、勝投手の記録を与える」とあり、同(c)にも「救援投手が少しの間投げただけで、しかもその投球が効果的でなかったときに、続いて登板した救援投手の中にリードを保つのに十分に効果的な投球をした場合は、前者に勝の記録を与えないで、続いて登板した救援投手の中で最も効果的な投球をしたと記録員が判断した投手に勝を与える」とあります。

 問のケースでは2番手投手は前任投手の残した走者とはいえ、2点を許しているため、記録員には「効果的な投球」とはみなされなかったということでしょう。1イニングを投げ切ったわけでもありませんし、3番手の投手(内容は分かりませんが)が勝利投手にふさわしいと判断されたということです。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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