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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

アメリカの独立リーグで採用された一塁盗塁とは?

 

先日、アメリカの独立リーグで「一塁への盗塁がルール上認められた」という記事を目にしました。これはどういうことでしょうか。振り逃げが「一塁盗塁」に名称を変更しただけなのでしょうか。

“一塁盗塁”がルール上で認められたのは確かです。

 もちろんこれは質問にもあるようにアメリカの一部の独立リーグでのみ認められたものですが、MLB導入への布石(うまくいくか、いかないかのリサーチ)と現地では報じられているようです。

 この“一塁盗塁”を認めたのはMLBと業務提携契約を結んでいるアトランティック・リーグで、7月12日からのリーグ後半戦から試験的に導入しました。

 そもそも「一塁盗塁ってなに?」という話ですが、三振振り逃げと非常に似たもので、従来、振り逃げは2ストライク後に第3ストライクが正規に捕球されなかった場合に可能となりますが、“一塁盗塁”はどのカウントでも捕手が投球を捕れなかった場合に打者走者はスタートを切ることができて(これを一塁盗塁と呼びます)、一塁に盗塁でき、打者走者は一塁に送球されるか、タッチされる前に一塁に到達すればセーフとなるようです。

 なお、新ルール適応後、さっそく一塁盗塁第1号が誕生しています。13日にメリーランド州で行われたサザン・メリーランド・ブルー・クラブズ対ランカスター・バーンストーマーズの一戦の6回、ブルー・クラブズの攻撃でした。打席のトニー・トーマスの2球目、捕手は投球を捕球できずに後逸。これを見たトーマスが一塁へとスタートを切り、“一塁盗塁”を成功させました。

 非常に斬新なルールで反対意見も多いようですが、現状、MLBで“一塁盗塁”を採用する予定はないようです。仮に採用された場合、翌年に日本でも採用されるのが通例ですが、果たしてどうなるでしょうか。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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