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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

試合開始後に天候が悪化し、濃い霧が。外野手からはボールが見えない状態となったとき、監督が試合の中断を申し入れることは認められる?

 

気温の低い日で、試合開始時点は問題ありませんでしたが、次第に濃い霧がたち込み始め、ベンチから外野手が見えるか見えないか、という状態になりました。ビジターチームの監督がボールの見えづらさを訴え、試合の中断を審判団に申し入れましたが、このようなことは認められるのでしょうか。

 各連盟や団体によって細かなルールは異なりますが、野球規則上はこのような申し入れは認められません。仮に中断を申し入れたのがホームチームの監督や責任者であっても同様です。

 試合の開催の可否について、開始前の時点では“競技場使用の適否の決定権”に関して触れた野球規則4.04(a)に「ホームチームだけが、天候、競技場の状態が試合を開始するのに適しているかどうかを決定する権限を持っている。ただし、ダブルヘッダーの第2試合を除く」とあるように、ホームチーム側に試合開催を決定する権限が与えられています。しかし、問のようにすでに試合が行われている(つまり試合中の)場合、これとはルールは異なってきます。

“打順表の交換”について触れた野球規則4.03(e)に「ホームチームの打順表が球審に手渡されると同時に、競技場の全責任は、各審判員に託される。そして、その時を期して、球審は天候、競技場の状態などに応じて、試合打ち切りの宣告、試合の一時停止あるいは試合再開などに関する唯一の決定者となる」とあり、このように、ひとたび試合が始まれば、試合の進行に関するすべての権限が審判団に移り、審判団が責任を持って決定を下すのです。

 なお、この規則には続きがあって、「球審はプレイを中断した後、少なくとも30分を経過するまでは、打ち切りを命じてはならない。また球審はプレイ再開の可能性があると確信すれば、一時停止の状態を延長しても差し支えない」と定められています。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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