週刊ベースボールONLINE

よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

走者がフェアの打球にフェア地域で当たった場合の従来の解釈を変更したとのことだが、どういうこと?

 

2020年の野球規則改正で、走者がフェアの打球にフェア地域で当たった場合の従来の解釈を変更したとニュースで耳にしました。どういうことでしょうか。

 簡単に説明すると、これまでは走者が内野手の後方の打球にフェア地域で触れたとしても、アウトとはなりませんでしたが(もちろん、故意ではない場合)、2020年からは内野手がいわゆるトンネルなどのミスを犯して後方に転がってきた場合などを除き、原則として走者がフェア地域で打球に当たった場合、アウトとなるように変更されました。

“走者アウト”について触れた野球規則5.09(b)(7)には「走者が、内野手(投手を含む)に触れていないか、または内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールに、フェア地域で触れた場合<後略>」に「走者アウトとなる」と定められていました。つまり、これ以外のケース、例えば走者が二、三塁におり、内野の守備隊形が前進守備だった場合、内野手(遊撃手、三塁手)は二塁走者よりも前に守ることになりますが、この時に三遊間に打球が転がり、三塁手も遊撃手も捕球できず、その後方で走路を走る二塁走者がたまたまこれに触れてしまっても、走者(二塁走者)アウトとはならず、プレーも続けられていました。

 しかし、今回の野球規則改正では前述の5.09(b)(7)から「5.09(b)(7)には「内野手(投手を含む)に触れていないか、または内野手(投手を除く)を通過していない」の部分が削除され、「走者が、フェアボールに、フェア地域で触れた場合」にアウトとなると変更されました。この条文の直後に「(5.06c6、6.01a11参照)」がこのあとに続く条文の中段より移動され、内野手のミスがあり、その打球に当たった場合はアウトにならないことが読み解けますが、単純に野手の間を抜けて走者に当たった場合は、アウトをとるように変更された、ということです。[文責=編集部]
よく分かる!ルール教室

よく分かる!ルール教室

元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング