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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

ある審判員が「セーフ」とジャッジも、別の審判員が「アウト」と反対のジャッジ。この場合、どのように処理することが正解?

 

3選手の中間地点付近にフラフラッとフライが上がりました。ある選手がこの飛球に飛び込み、ボールをグラブに収めましたが、2人の塁審のうち1人はアウト、もう1人はワンバウンドしたとしてセーフのジャッジです。このように審判員で判定が割れた場合、どのように処理するのが正しいのでしょうか。

 質問のケースはごくごく稀なシーンだと考えられますが、“球審および審判の任務”について触れた野球規則8.03(c)にしっかりと定められています。

「一つのプレイに対して、2人以上の審判員が裁定を下し、しかもその裁定が食い違っていた場合には、球審は審判員を集めて協議し(監督、プレーヤーをまじえず、審判員だけで)、その結果、通常球審(または、このような場合には球審に代わって解決に当たるようにリーグ会長から選任された審判員)が、最適の位置から見たのはどの審判員であったか、またどの審判員の裁定が正しかったかなどを参酌して、どの裁定をとるかを決定する」

 野球規則にはこのようにありますので、質問のような場合には、審判員が集まって協議を行い、球審がどちらの判定を採用するか決定する流れになります。ただし、日本のプロ野球の場合は各試合に責任審判員(これがリーグ会長から選任された審判員に当たる)がおり、この責任審判員が最終的な決定権を持つことになります。勘違いをしている方が多いのですが、責任審判員は球審とは限りません。また、よく球審のことを「主審」と言う方もいますが、これも誤った表現です。

 なお、8.03(c)には続きがあって、「このようにして、決定された裁定は最終のものであり、初めから一つの裁定が下された場合と同様に、試合は続行されなければならない」とあります[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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