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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

併殺を試みた途中、二塁ベース上で一塁走者と二塁手が交錯し、送球できず。守備妨害となったが、ここで適用された「ボナファイド」とは?

 

7月12日の巨人ヤクルト(ほっと神戸)の6回、一死一、三塁の場面で巨人の八番・炭谷銀仁朗選手が遊ゴロを打ちました。併殺を試みるためにボールは二塁に転送されましたが、二塁手の山田哲人選手と一塁走者のG.パーラ選手がベース上で交錯し、山田選手が転倒、一塁へは投げられませんでした。判定はパーラ選手のアウトのみで、その間に三塁走者の亀井善行選手が生還しましたが、リクエストの結果、パーラ選手の守備妨害と判定され打者走者もアウトとなり、チェンジに。審判員が場内放送で「ボナファイド」を適用した旨、説明しましたが、ボナファイドとは何ですか。

 ボナファイドとは“併殺を試みる塁への正しいスライディング”のことで、野球規則6.01(j)に規則違反となるスライディングがどのようなものか、記載があります。ただし、日本語版の野球規則には「ボナファイド」との直接の表現はなく(正しいスライディングと表記)、規則原文に「bona fide slide」を見ることができます。では、正しいスライディングとは何か。見ていきましょう。

 6.01(j)「※前略(1)ベースに到達する前からスライディングを始め(先に地面に触れる)、(2)手や足でベースに到達しようとし、(3)スライディング終了後は(本塁を除き)ベース上にとどまろうとし、(4)野手に接触しようとして走路を変更することなく、ベースに達するように滑り込む」

 質問のシーンではパーラ選手は真っすぐにベースに向かってスライディングをしていたように見えましたが、審判員の説明によると、「あまりにも近くから、勢いをつけて(パーラ選手が)ベースを越えた」ことで山田選手の足を払うような形となり、故意ではなかったとしても、野手(山田選手)を負傷させかねない、危険度の高いものだったと判断されました。なお、“正しいスライディング”であれば、野手に接触しても妨害とならない旨、同規則には記されています。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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