週刊ベースボールONLINE

よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

スタンドに野手が投げ入れ、相手が得点したとき、失策が記録されるのはなぜ?

 

一死三塁で三塁手がファウル飛球を追い、捕球しました。このとき、三塁手はアウトカウントを勘違いしていたのか、捕球したボールをスタンドのファンに向かって投げ入れました。三塁走者の得点が認められ、三塁手には失策が記録されましたが、どうしてですか? 「判断の誤りには失策を記録しない」と聞いたことがあります。

 失策の記録は、攻撃側チームを利する行為をした野手に与えられる旨が、野球規則9・12に定められています。この問に関する失策の記録に関しては【原注3】に、以下のような記述があります。

「頭脳的誤り、または判断の誤りは、失策と記録しない。ただし、特に期待された場合を除く。投手が一塁ベースカバーに入らないで打者走者を生かした場合、投手に失策を記録しない。野手が間に合わない塁へ不正確な送球をしても、失策を記録しない。頭脳的誤りが実際のミスプレイにつながった場合は、その野手に失策を記録する。たとえば、野手が第3アウトを勘違いして、ボールをスタンドに投げ入れたりマウンドに転がして、走者の進塁を許したような場合である」

 質問の方が言うように、野球規則にも「判断の誤り」には失策は記録されないことが明記されています。しかし、質問のケースのようにアウトカウントを勘違いした三塁手が、スタンドにボールを投げ入れる→走者の生還を許すことが規則にある「実際のミスプレイ」につながったわけですから、この場合、三塁手に失策が記録されるのは当然と言えます。

 仮に三塁手がボールをスタンドに投げ入れず、とはいえ、アウトカウントを勘違いしていてボールを保持したままスキを見せ、三塁走者にタッチアップされ、生還を許した場合(急いでホームに投げても間に合わない場合)には、失策は記録されないと考えられます。
よく分かる!ルール教室

よく分かる!ルール教室

元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング