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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

2020年の春の高校野球から導入された「投球制限」と「申告敬遠」などについてその詳細とは? また本格導入はいつ?【後編】

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、センバツ高校野球が夏の交流試合となり、夏の甲子園大会は中止になりました。これらの影響で、2020年度の春から導入された「投球制限」と「申告敬遠」などの高校野球の新たな取り組み、ルールがあいまいです。教えてください。[後編]

 前回では「投球制限」について、対象となるのは春夏の甲子園や地方大会の全公式戦であること、1人の投手の投球数が大会期間中の1週間で500球に達した場合(登板中に達した場合は打者との対戦が完了するまで)、それ以上投げることが認められていないこと、そのチェック体制について説明しました。

 この「投球制限」に関して少し補足しましょう。

 まず、降雨などの理由でノーゲームや再試合となった場合、当該試合の投球数も制限にカウントされます。また、雨天などの理由によって、当初予定されている日程から(1週間のうちの)試合数が増えた場合でも、1週間内の投球数は当然ながら500球を超えることはできません。なお、甲子園大会では、甲子園球場のバックスクリーンに投球数を表示することも決まり、実際、春のセンバツの代わりに8月に行われた交流試合からその表示がスタートしています。

 投球数制限については前回でも触れたように、3年間は“試行期間”とされていて、この間にさまざまなデータが収集され、23年度よりルール化される方針です。現状、大会期間中の練習などの投球数についてはカウントされず、問題視する声も出ており、今後の動きに注目です。

 なお、「申告敬遠」はプロ野球と同様に、申告すれば投球せず故意四球にできます。申告する場合は伝令に限り、カウント途中からでも適用できて、申告後はその打者への球数は加算されないほか、打者は必ず打席にいったん入ることも定められています。

 このほかにも原則3連戦を回避する日程の設定、金属バットの見直しなど、投手の障害を予防するための取り組みが導入されています[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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