無死走者一塁で打者はバントの構えです。打者は確実に投球をバットに当て、打球はホームベースの手前で大きく跳ねました。これを見た打者は一塁へと駆け出しましたが、走り出す際に手から離したバットがフィールド内に転がって止まり、高く跳ねたボールの落ち際で当たりました。この場合、どのような判定となりますか? あくまでも審判員の判断となりますが、質問にある打者の、バットを投げ捨てる行為が、打球の進路を妨害する目的ではないと審判員が判断すれば、「ボールインプレー」でプレーは続けられます。
“打者アウト”について触れた野球規則5.09(a)(8)に次のような記述があります。
「打者が打つか、バントしたフェアの打球に、フェア地域内でバットが再び当たった場合(※打者にはアウトが宣告される)。ボールデッドとなって、走者の進塁は認められない。これに反して、フェアの打球が転がってきて、打者が落としたバットにフェア地域内で触れた場合は、ボールインプレイである。ただし、打者が打球の進路を妨害するためにバットを置いたのではないと審判員が判断したときに限られる」 おそらく質問のケースでは、この条文にのとって
「故意ではない」と判断され、ボールインプレーとなると考えられます。
なお、打者がバントを試みて打球が真下にたたきつけられ、跳ね返ってバットに当たった場合はどうでしょうか。2度バットに触れたので「アウト」のようにも考えられます。しかし、このような場合は先ほどの条文に続きがあって、
「打者がバッターボックス内にいて、打球の進路を妨害しようとする意図がなかったと審判員が判断すれば、打者の所持するバットに再び当たった打球はファウルボールとなる」と定められているので、アウトとなることはありません。[文責=編集部]