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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

「死球」とはどのような形で公認野球規則に掲載をされている?避けなかったり、わざと当たった場合は?【前編】

 

巨人宮本和知投手チーフコーチが、近年の死球の傾向に疑問を投げかけた、というニュースを目にしました。エルボーガードのような体を守る防具の技術が発達したことで、本来、避けられるボールを避けなかったり、ヒジをわざと出すようなケースがあることに懸念を示した、とのことです。そもそも「死球」とはどのような形で公認野球規則には掲載をされているのですか?

 死球(Hitbypitch)とは、簡単に説明すると、投手の投げたボールが打者に当たった結果、打者走者に一塁が与えられるものです(ただし、さまざまな制約があります)。なお、日本ではデッドボールと言われることが多いですが、これはいわゆる和製英語です。

 野球規則では“打者が走者となる場合”について触れた5.05(b)「打者は、次の場合走者となり、アウトにされるおそれなく、安全に一塁が与えられる。(ただし、打者が一塁に進んで、これに触れることを条件とする)」のあとの(2)に次のように定められています。

「打者が打とうとしなかった投球に触れた場合。

 ただし、(A)バウンドしない投球が、ストライクゾーンで打者に触れたとき、(B)打者が投球を避けないでこれに触れたときは除かれる。

 バウンドしない投球がストライクゾーンで打者に触れた場合には、打者がこれを避けようとしたかどうかを問わず、すべてストライクが宣告される。

 しかし、投球がストライクゾーンの外で打者に触れ、しかも、打者がこれを避けようとしなかった場合には、ボールが宣告される。」

 質問には巨人の宮本コーチのコメントが引用されていますが、そのコメントのように避けられるボールを避けなかったり、ヒジをわざと出して投球に触れても、規則で示したように「死球」とはならず、ボールが宣告されることとなります。【次号に続く】 [文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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