少し前のことですが、4月11日の楽天対ソフトバンク(楽天生命パーク)の試合で、「見逃し三振での振り逃げ」があったという記事を見ました。見逃し三振なのに、「振り逃げ」とはどういうことでしょうか。 当該シーンを振り返ってみましょう。4月11日に楽天生命パークで行われた楽天とソフトバンクの一戦で、6回表のソフトバンクの攻撃でした。楽天の先発・
早川隆久選手がこの回先頭の
今宮健太選手に対し、2ストライクと追い込んでからの3球目、140着ろのストレートが捕手のミットをたたき、球審は「ストライク」を宣告しました。しかし、このボールを捕手の
太田光選手が捕球できず、ボールは今宮選手の足元を転がり、三塁線へ。ここで今宮選手は一塁へと走り出し、太田選手がボールを見失ったこともあって、投手の早川選手が慌てて捕りに向かい、最終的には一塁でアウトにしました。結果的に、記録は三振により打者アウトですが、今宮選手が「振らない振り逃げ」を狙ったのは確かです。
“打者が走者となる場合”について定めた野球規則5.05(a)(2)には
「(A)走者が一塁にいないとき、(B)走者が一塁にいても2アウトのとき、捕手が第3ストライクと宣告された投球を捕らえられなかった場合」には
「打者は走者となる」とあります。
三振、即打者アウトの条件は5.09(a)に
「第3ストライクと宣告された投球を、捕手が正規に捕球した場合」であり、問にある試合のシーンのように、捕手が第3ストライクを捕球できなかったとき、打者は走者となって一塁への進塁を試みることが認められています。
「振り逃げ」とは言われるものの、これは第3ストライクが空振りである必要はないということです。とはいえ、空振り三振の「振り逃げ」は目にする機会は多いですが見逃し三振での「振り逃げ」はなかなかない“珍プレー”だったと言えるかもしれません。 [文責=編集部]