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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

ロッテの試合で珍プレーが続出。どのようなルールを用いてそれぞれの事態を解決した?【その2】

 

4月末からゴールデンウィークにかけて、ロッテの試合で珍プレーが4件立て続けに起こったとニュースで目にしました。どのようなことでしょうか。また、それぞれどのようなルールを用いて解決したのでしょうか。[その2]

 前回では『15秒ルール』にまつわる珍プレーに触れました。今回は5月1日に楽天生命パークで行われた、楽天-ロッテ戦での『観衆の妨害』です。ファウル判定がアウトに覆るプレーがありました。

 4回裏、楽天の攻撃の一死二塁の場面です。一番・小深田大翔選手の打った飛球が左翼ファウルゾーンのフェンス付近へ飛びました。これをロッテの左翼手・角中勝也選手が追いかけ捕球体勢に入りましたが、最前列に座っていたスタンドのファンもこれを捕球しようと手を伸ばします。悪意はなかったのでしょうが、ファンの手が角中選手の視界を遮さえぎるような形に。結局、両者ともにボールを捕球することはできませんでした。三塁塁審は「ファウル」と判定しましたが、ロッテ・井口資仁監督がすかさずリクエストを要求。リプレー検証の結果、木内九二生球審が「観衆の妨害がありましたため、妨害がなければ捕球していたと判断されるためアウトとします」と場内に説明し、ファウル判定が左邪飛に覆りました。

 野球規則には“観衆の妨害”についても規定があります。6.01(e)には

「打球または送球に対して観衆の妨害があったときには、妨害と同時にボールデッドとなり、審判員は、もし妨害がなかったら競技はどのような状態になったかを判断して、ボールデッド後の処置をとる」

とあり、この規則説明には

「観衆が飛球を捕らえようとして野手を明らかに妨害した場合には、審判員は打者に対してアウトを宣告する」

とありますので、リプレー検証後のアウトへの判定の変更は妥当だったと考えることができます。観衆の妨害は稀にあることですが、リクエストで覆った“珍”プレーだったと言えるかもしれません。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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