4月末からゴールデンウイークにかけて、ロッテの試合で珍プレーが4件立て続けに起こったとニュースで目にしました。どのようなことでしょうか。また、それぞれどのようなルールを用いて解決したのでしょうか[その3] ロッテにまつわる珍プレー3件目です([1]=『
15秒ルール』、[2]=
『観衆の妨害』)。前号(5月31日号)で取り上げた『観衆の妨害』があった5月1日の
楽天-ロッテ戦(楽天生命パーク)の翌2日の同カードで、ボールがフェンスに挟まり『打者、走者に2個の進塁権が与えられる』シーンがありました。
4回表、一死一塁でロッテ・
安田尚憲選手が打席に立った場面です。カウント2ボール1ストライクからの4球目、安田選手の放った打球が左翼手・
島内宏明選手の頭上を襲います。島内選手はフェンス際まで背走し、ジャンプしてグラブを持つ右手をめいっぱい伸ばしましたが、捕球できず。打球はラバーフェンスとその上部の金網の隙間にすっぽりと挟まりました。打球が挟まっているとは想像もしなかったであろう、島内選手は打球を見失い、探しているうちに一塁走者の
中村奨吾選手が三塁を回ってホームへ、打者走者の安田選手は三塁に向かいます。
しかし、ここで審判団が一度試合を止め、協議の末に「打球が挟まった時点でボールデッドとし、走者二、三塁で再開」と場内に説明。中村奨選手、安田選手はそれぞれ三塁、二塁に戻されて試合は再開されました。
“打者が走者となる場合”について触れた野球規則5.05の(a)(7)には、打球がフェンスなどに挟まった場合の対応について次のように定めています。
「フェアボールが[中略]フェンス、スコアボード、灌木およびフェンスのつる草に挟まって止まった場合には、打者、走者ともに2個の進塁権が与えられる」。また、このように2個の進塁権が与えられる場合は、投手の投球当時に占有していた塁を基準とすることも定められており、今回は走者一塁からのプレーであったため、走者二、三塁で再開となりました。(文責=編集部)