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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

交流戦好調の中日がロッテ戦でリプレイ検証の末に同点とされた『コリジョンルール』とはどんなもの?

 

交流戦好調の中日でしたが、6月2日のロッテ戦(バンテリン)では、9回まで2点リードも最後にホームでのクロスプレーで一時アウト判定が出たものの、リプレイ検証の結果、『コリジョンルール』が適用されて判定が覆り、セーフに。同点に追いつかれ、そのまま引き分けに終わってしまいました。あらためて何がいけなかったのでしょうか。

『コリジョンルール』とは本塁での衝突(=コリジョン)を防止するための規則(ルール)で、本塁での過激な接触プレーによる負傷者が後を絶たなかったことから、MLBでは2014年より、日本では2年後の16年より採用されました。

 まず問のケースを振り返ってみると、2対0と中日が2点をリードして迎えた9回表のロッテの攻撃で、二死二、三塁の場面です。ロッテ・角中勝也選手が中前打を放ち、三塁走者が生還、二塁走者の中村奨吾選手も三塁を回ってホームを狙いましたが(ヘッドスライディング)、中堅手の大島洋平選手の好返球で一度は本塁タッチアウトと判定が下されました。その後、ロッテサイドのリクエストがあり、『コリジョンルール』が適用され、同点となりました。

“本塁での衝突プレイ”については公認野球規則6.01(i)に規定され、(2)に
「捕手がボールを持たずに得点しようとしている走者の走路をブロックすることはできない。もし捕手がボールを持たずに走者の走路をブロックしたと審判が判断した場合、審判員はその走者にセーフを宣告する。前記にかかわらず、捕手が送球を実際に守備しようとして走者の走路をふさぐ結果になった場合(例えば、送球の方向、軌道、バウンドに反応して動いたような場合)には、本項に違反したとはみなされない<抜粋>」
とあり、今回はこの規則が適用されました。一度はアウトと判定されたように見方によっては微妙なプレーでしたが、リプレイ検証の結果、捕手の木下拓哉選手が送球を受ける前から走路をふさいだという判断に至ったと考えられます。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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