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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

東京五輪でロジンを大量につける伊藤大海選手に韓国がクレーム。ルール上ではどうなっている?

 

東京オリンピックで日本代表の伊藤大海選手(日本ハム)が、大量にロジンをつけることに対し、準決勝で対戦した韓国サイドから審判へ、クレームが入りました。ルール上、どのようになっているのですか。

 韓国サイドのクレームは、ロジン(マウンドに置かれる滑り止め。大会公認のもの)のつけ過ぎによって白い粉が投球時に舞い(もしくはロジンを手に付けた際に粉が舞い)、バッターボックスからボールがよく見えない、という内容のものだったようです。公認野球規則で「ロジン」についての記述があるのは3カ所で、その1つが3.01でプレーヤーがロジン等でボールを故意に汚すことを禁じるもの。続いて4.01(f)で、「試合開始前に公認ロジンバッグが投手板の後方に置かれていることを確認する」というもの。

 そして6.02(d)の【原注2】で「ロジンバッグにボールが触れたときは、どんなときでも、ボールインプレイである。雨天の場合又は競技場が湿っている場合には、審判員は投手にロジンバッグを腰のポケットに入れるよう指示する。投手はこのロジンバッグを用いて、素手にロジンをつけることを許されるが、投手、野手を問わず、プレーヤーは、ロジンバッグで、ボールまたはグラブにロジンをふりかけたり、またはユニフォームのどの部分にも、これをふりかけることは許されない」とあるだけです。

 伊藤選手は手汗がすごく、普段からロジンを多めにつけるとのこと。ボールにふりかけているわけでもなく、ルール上は何ら違反ではありません。昔からロジンを大量に使用する投手はいて、代表的な選手だと現広島佐々岡真司監督や、ヤクルト石川雅規投手なども投球時に白い粉がパッと舞うのが特徴でした。伊藤選手は韓国側からのクレームのあとも動じることなく、自らのペースを貫いて抑えたのはさすがですね。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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