東京オリンピックの準決勝・日本対韓国(横浜スタジアム)で、近藤健介選手が内野ゴロを打ち、一塁ベースを踏んだあと、インフィールドのほうに駆け抜ける形となりました。その後、一塁ベースに帰塁する間に、韓国の選手がタッチしてアウトをアピールしましたが、セーフの判定です。審判団のリプレー検証でもやはりセーフと判定されました。一塁への駆け抜けはファウルゾーンにしなければいけないのではないでしょうか? 結論から言うと、打者走者の一塁への駆け抜けに関して、「ファウルゾーンでなければいけない」、「インフィールドへの駆け抜けはNG」といった内容の記述は野球規則にはありません。
“走者アウト”について触れた野球規則5・09(b)(4)には
「ボールインプレイで走者が塁を離れているときに触球された場合」に走者アウトになるとありますが、例外として「打者走者が一塁に走るときは、ただちに帰ることを条件としてならば、オーバーランまたはオーバースライドして一塁を離れているとき触球されても、アウトにはならない」とあり、どこに駆け抜けるか、といった場所を指定する記述はありません。
また、5・09(b)(11)に
「走者が一塁をオーバーランまたはオーバースライドした後、ただちに一塁に帰塁しなかった場合。一塁をオーバーランまたはオーバースライドした走者が二塁へ進もうとする行為を示せば、触球されればアウトとなる」とあるように、仮にインフィールド内に駆け抜けたとしても、進塁の意思を示さなければ問題はないということです。
質問にある東京オリンピックでの近藤選手のケースは、併殺を防ごうと駆け抜けた場面。一塁到達後、確かに二塁へ向かうそぶりは見せておらず、リプレー検証でもそれが立証された形です。ただ、非常に紛らわしい駆け抜けであったことは確かです。[文責=編集部]