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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

飛球を捕球され、一塁走者が帰塁の際に二塁を空過したとしてアウトの判定。何がいけなかった?

 

8月20日の日本ハム楽天(札幌ドーム)で、3対3の同点の9回に一塁走者の日本ハム・杉谷拳士選手が、飛球を捕球されたのを見て一塁に戻る際に、二塁ベースを空過し、アウトとされ、試合終了(引き分け)となりました。何がいけなかったのでしょうか。

 まず状況を整理しましょう。3対3の9回裏、一死一塁で、一塁走者は代走の日本ハム・杉谷拳士選手です。続く代打の郡拓也選手が左翼への飛球を放ちます。この打球で、二塁を少しオーバーランしていた一走の杉谷選手は、捕球されるのを見て、一塁へ帰塁を始めました。この際、二塁ベースを踏まずに一塁へ戻ったため、楽天の左翼手・オコエ瑠偉選手からの返球を受け取った二塁手・浅村栄斗選手が二塁ベースを踏み、審判にアピール。審判はアウトを宣告しました。

 走者の“進塁”について触れた野球規則5.06(b)(1)には「走者は進塁するにあたり、一塁、二塁、三塁、本塁の順序に従って、各塁に触れなければいけない」と定めていますが、逆走についても併せて

「逆走しなければいけない時も、5.06(c)の各規程のボールデッドとなっていない限り、すべての塁を逆の順序で、再度触れていかなければならない。前記のボールデッドの際は、途中の塁を踏まないで、直接元の塁へ帰ることはさしつかえない」

と定めています。問のケースでは杉谷選手が帰塁に際してオーバーランした二塁ベースを再度踏むことなく、一塁へ戻ったことで、守備側チームからのアピールプレイにより、アウトとされました。

 これに対して、日本ハムの栗山英樹監督がリクエストを要求しましたが、やはり空過が認められ、結果は覆らず。この試合の責任審判の西本欣司球審は「杉谷選手が二塁を越えたところで、一塁に帰塁する際に二塁を空過したと判断して、杉谷選手をアウトといたします。試合終了です」と、経緯を場内アナウンスにて説明しています。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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