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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

首位打者争いでトップに立っていた選手がケガなどで離脱し、規定打席に及ばない場合、資格を失う?

 

首位打者の決定について質問です。今季、パ・リーグの首位打者争いで、オリックス吉田正尚選手が3割4分を超えるハイアベレージで、2位以下を大きく引き離してトップに立っています。先日、ケガから元気に復帰したので問題はないのですが、仮にあのまま戦列に復帰できなければ、オリックスの全日程終了時点で6打席分、規定打席(443打席)に足らなくなる可能性があったと聞きました。その場合、首位打者の資格は失われていたのでしょうか。

 オリックスの吉田正尚選手は9月4日の試合のあと、登録を抹消され、26日の試合に復帰。その後、29日のロッテ戦(ZOZOマリン)の第1打席で今季の規定打席(443打席)に達しました(吉田選手はその後、10月2日に受けた死球の影響で3日に再び登録抹消)。質問の方が言われるように、戦列に復帰できなければ、規定打席に到達していなかったわけですが、実はこの点に関しては救済措置が設けられています。

 “各最優秀プレーヤー決定の基準”について触れた野球規則9.22で「プロフェッショナルリーグの打撃、投手、守備における各最優秀プレーヤーの決定は、次の基準による」とあり、(a)に「リーグの首位打者、最高長打率打者、最高出塁率打者は、最高の打率、長打率、出塁率をあげたプレーヤーに与えられる。ただし、メジャーリーグではそのシーズン中の1クラブあたりに組まれている試合数の3.1倍以上、マイナーリーグでは2.7倍以上の打席数を必要とする。(中略)ただし、必要な打席数に満たない打者でも、その不足数を打数として加算し、なお最高の打率、長打率、出塁率になった場合には、この打者がリーグの首位打者、最高長打率打者、最高出塁率打者となる」と定められています。規則中に「メジャーリーグ」とありますが、日本のプロ野球でもこれは同じで、仮に吉田選手が6打席規定に満たなくても、6打数として加算し、他の選手とタイトルを争うことができた、ということです。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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