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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

二死一塁から右翼越えの打球がフェンスに当たり、続いて右翼手の体ではね返ってスタンドへ。ホームに到達していた一走の得点は認められない?

 

10月10日のMLBのア・リーグ地区シリーズ、レッドソックス対レイズ(フェンウェイパーク)でのことです。レイズは延長13回二死一塁から、打席に立ったキーアマイアーが右翼越えの大きな当たりを放ちました。打球はフェンスに当たったあと、このボールを追っていた右翼手・レンフローの胸に跳ね返って、今度はフェンスを越えるという珍しいプレーとなりました。このとき、一塁走者はホームに到達していたようですが、ビデオ判定の結果、キーアマイアーの打席は二塁打とされ、走者のホームインは認められず、二死二、三塁から試合再開となりました。どうしてでしょうか。

 質問にあるように、このプレーが「ビデオ判定」となったのは、右翼手のレンフローに打球が当たり、フェンスを越えたのが故意によるものなのか、一連のプレーで仕方のないものなのかを審判団が確認するためのものです。というのも、“打者が走者となる場合”について触れた野球規則5.05(b)の(8)には「バウンドしたフェアボールが、野手に触れて進路が変わり、フェア地域またはファウル地域のスタンドに入った場合か、フェンスを越えるか、くぐるかした場合、打者、走者ともに2個の進塁権が与えられる」と明記されているからです。

 質問の場面で審判団が二塁打を指示したということは、「故意ではない野手に跳ね返ってのフェンス越え」でエンタイトルツーベースと判定されたという意味で、一塁走者に対しても2個の進塁しか認められず、二死二、三塁からの再開となったわけです。フェンスを越えていなければ勝ち越し点となっていたわけで、打ったキーアマイアーは「審判団の判定には従うしかないが、納得するのは簡単ではない。あの場面で得点ができなかったのは信じられない」とコメント。落胆する気持ちは分かりますが、ルールですので仕方がありません。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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