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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

センバツで誤審を認めて球審が謝罪。アウトを宣告された走者を戻して試合再開に問題はない?

 

今春の選抜高校野球で審判員の誤審を認めて球審が場内放送で異例の謝罪を行い、一度はアウトを宣告された走者を戻してプレーを再開する場面がありました。ルール上、問題はないのでしょうか。

 まず当該のシーンを整理しましょう。今春の選抜高校野球第2日(3月20日)、第1試合の広陵高対敦賀気比高の4回裏、広陵高の攻撃の場面でした。無死一塁から打者が一塁線へ送りバントを試みると、ラインぎりぎりに転がり、打球はファウルゾーンからフェアゾーンへ。これを見た球審はフェア判定をし、打者走者は一塁でアウトになりましたが、二塁塁審がファウルのジェスチャーをしたため、これを見た一塁走者は二塁への進塁をやめ、一塁へ帰塁する動きを見せます。しかし、守備陣がプレーを続けているのを見て、慌てて再スタート。一、二塁間で挟まれアウトの宣告を受けました。その後、広陵高サイドからの申し立てがあり4人の審判が協議を行った結果、二塁塁審に誤審があったとし、犠打による走者の二塁進塁が認められました。

 判定後、尾崎泰輔球審は場内アナウンスで状況を説明し、「私たちの間違い。止めたランナーを二塁に進めて再開します。大変申し訳ありません」と謝罪しました。

 “審判員の資格と権限”について触れた野球規則8.01(c)には「審判員は、本規則に明確に規定されていない事項に関しては、自己の裁量に基づいて、裁定を下す権限が与えられている」とあり、この場面では審判員の自己裁量権において、誤審の訂正が行われた形です。

 なお8.02(c)には「(前略)審判員が協議して先に下した裁定を変更する場合、審判員は、走者をどこまで進めるかを含め、すべての処置をする権限を有する。この審判員の裁定に、プレーヤー、監督またはコーチは異議を唱えることはできない(後略)」と定められています。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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