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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

MLBで採用された“大谷ルール”とは? そもそも規則上、指名打者についてはどのように規定されている? 【前編】

 

MLBもようやく開幕しました。開幕前から話題になっていたのが指名打者(DH)にまつわる通称“大谷ルール”だと思います。詳しくその内容を教えてください。また、規則上、指名打者についてはどのように定められているのでしょうか。[前編]

 “大谷ルール”とは、端的に言うと二刀流の選手に先発投手兼DHでの出場を可能とさせるものです。例えば一番・DHでスタメンに名を連ね、先発投手としてマウンドに上がれる、ということなのですが、通常、“DH”とは投手の代わりに、指名を受けた別の選手が打席に立つ(※この打者は守備には就かない)もの。

 しかし、それではエンゼルス・大谷翔平選手のような二刀流の選手は、DH制が採用された試合では投手として出場すると、打席に立つことはできません。苦肉の策として、昨季までのエンゼルスはDHを解除し、一番・投手のような形で大谷選手を起用していました(登板のない試合ではDHで出場)。

 ただ、先発投手として出場した場合、大谷選手の降板後、DHを復活させることはこれまでのルールでは不可能で、打者として出続けるには守備に就くしかなく(肉体的負担が大きい)、代わって登板した投手にも打席に立つ義務が生じます(エンゼルスの所属するア・リーグはDH制※今季は両リーグDH制を採用)。

 そこで、今回の“大谷ルール”です。昨年のオールスター・ゲームで同様の特別ルールが適用されましたが、先発した大谷選手は降板後、DHで試合に残り、打席に立ちました(つまりDHが復活する)。今季からこのルールが採用されるため、大谷選手の打席の増加が見込まれます。ただ、実際にシーズンを通じて活用する選手はMLBでも大谷選手だけと言われており、そういう意味で通称“大谷ルール”と呼ばれています。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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