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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

MLBで採用された“大谷ルール”とは? そもそも規則上、指名打者についてはどのように規定されている? 【後編】

 

MLBもようやく開幕しました。開幕前から話題になっていたのが指名打者(DH)にまつわる通称“大谷ルール”だと思います。詳しくその内容を教えてください。また、規則上、指名打者についてはどのように定められているのでしょうか。[後編]

 前号では今季よりMLBで採用されている通称“大谷ルール”について解説しました。例えば一番・指名打者(DH)でスタメンに名を連ね、先発投手としてマウンドに上がれるというもので、昨年のオールスター・ゲームで同様の特別ルールが適用されていました。先発した大谷選手が投手として打席に立ち、降板後にはDHで試合に残ることが許され、実際に打席に立った、あのルールです(つまりDHが復活する)。

 今回はそもそも規則上、DHがどのように規定されているか、見ていきます。“指名打者”については野球規則5.11で触れられていて、以下のように(a)(1)に定められています。

「先発投手または救援投手が打つ番のときに他の人が代わって打っても、その投球を継続できることを条件に、これらの投手に代わって打つ打者を指名することが許される(後略)」

 そのほかに、重要な点を抜粋すると、

「相手チームの先発投手に対して、少なくとも1度は、打撃を完了しなければ交代できない」(a)(2)

「必ずしも指名打者を指名しなくてもよいが、試合前に指名しなかったときは、その試合で指名打者を使うことはできない」(a)(3)

「指名打者が守備についてもいいが、自分の番のところで打撃を続けなければならない。したがって、投手は退いた守備者の打撃順を受け継ぐことになる」(a)(5)

「投手が一度他の守備位置についた場合、それ以後指名打者の役割は消滅する」(a)(8)

「指名打者が守備位置についた場合はそれ以後指名打者の役割は消滅する」(a)(12)

などがあり、これらを見ても、“大谷ルール”の特異性が分かると思います。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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