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山崎夏生のルール教室

珍しい日没コールド。高校野球とプロの違いとは?/元パ・リーグ審判員 山崎夏生に聞く

 

8月23日の釧路で行われた試合では、審判団が協議しコールドゲームとなった


8月23日、釧路での日本ハムオリックス戦は7回終了時に日没コールドで0対0の引き分けに終わりました。まだ午後4時7分ですし、かつてはサスペンデッドゲーム(一時停止試合)として、後日に継続して行われたのではないでしょうか?

 よくご存じですね。今回の日没コールドですが、正確には曇天による視界不良のための措置でした。日没時間が早く、照明設備のない球場が多い北海道では学生野球の試合などでも頻繁に起こります。特にプロ野球では150キロ超の投球や打球が飛び交い、ボールの見えにくさは危険も伴いますので、審判団の賢明な判断だったでしょう。3年前の同球場での試合でも8回表で日没コールドとなっています。

 サスペンデッドゲームは今でも公認野球規則7.02に明記されています。ただし最後の【注】には「所属する団体の規定に従う」とあり、現在のNPBでは適用されません。かつてはパ・リーグのみで適用されており、過去には8試合の事例があります。

 その最後の試合となったのが1987年5月23日の佐藤池球場(新潟県柏崎市)のこけら落としだった南海対ロッテ戦でした。この日は前日からの雨で試合開始が遅れ、さらに降雨中断もあり8回表に日没となりここで一時停止、翌日に同一状況下で再開されるはずでした。ところが翌日は雨天中止となり、結局、この試合の続きは7月8日の平和台球場にまで持ち越されたのです。ちなみに私の故郷かつ一軍初遠征でもあり、思い出深い試合のひとつです。

 なお、高校野球では大差によるコールド規定を除き7回が終了するまでは正式試合となりません。よって7回以前の大雨によるノーゲーム、あるいは終盤に接戦でのやむなき雨天コールドゲームなども過去には数多く見られました。高校最後の試合を悔いなきようにとの配慮から今春の選抜大会から継続試合ルールが適用されることになりました。まだ今夏の大会も含め甲子園での適用例はありませんが、地区大会では何試合かあったようです。

 ただし全49地区のうち採用されたのは35地区で、共通ルールとはなっていません。千葉県では従来どおりの内規だったため、あるチームは6回終了時点で7対4とリードしていた試合がノーゲームとなる事例もありました。炎天下での選手の負担や公平性の観点から、高野連全地区共通の内規としてもらいたいところですね。

PROFILE
やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。
よく分かる!ルール教室

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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