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山崎夏生のルール教室

時代とともに変わりゆくジャッジの方法と制度/元パ・リーグ審判員 山崎夏生に聞く

 

日本で最も歴史の長い東京六大学でもビデオ判定が導入され、DH制も検討されている


【問】東京六大学では今季からビデオ判定が取り入れられました。また来春からはDH制度も採用するとのこと。仙台六大学でもビデオ判定を取り入れましたし、高野連でもDH制度とともに検討課題に上がっており、近年中には実現するのではないかと言われています。もはやビデオ判定とDH制度は野球の一部になっている、と言っても過言ではないと思いますが、セ・リーグは追随しますか?

【答】まずDH制度ですが、この問題に関しては当欄の第71回でも論じています。すでに50年以上の歴史があり、すべての国際試合やセ・リーグ以外の全プロ野球で取り入れられており、頑なに採用を拒否する理由が分かりません。私の周囲の野球ファンのほとんどは活発な打撃戦を望み、打ち気のない投手の打席には飽き飽きとしています。現役投手もケガのリスクを回避でき、イニング間の休養を取れますから望んでいるでしょう。学生野球でも選手の出場機会の増加と投手の負担の軽減というメリットがあります。こういった問題は多数決で決めるものではありませんが、ごく少数の反対派の意見を同等以上に扱うのはいかがなものかと思う次第です。またこれは任意のルールですから二刀流選手の育成を阻害もしません。

 ビデオ判定にしても然り。NPBよりも古い歴史を持つ東京六大学でも取り入れたということは、今後のアマチュア球界に大きな影響を与えるでしょう。春季リーグ戦第2節ではその現場に立ち会いました。立教大対法政大戦は同点の9回裏二死満塁から立大の打者が三塁ゴロを打ち、一塁へのヘッドスライディングで「セーフ!」。ここで法大からビデオ検証の要請がありましたが、結果はセーフのままで立大のサヨナラ勝ち。しびれる結末でした。同様に仙台六大学でもスマホ4台で各塁を撮影した動画ではありますが、採用しています。

 かつては審判の判定は絶対であり、何があろうとも変えてはなりませんでした。それもまた野球だ、と。が、今はそれを通せば機械の目で誤審が証明され、当該審判はSNS等々で誹謗中傷にさらされる時代です。まずは審判団の自主的協議、しかるのちにビデオ検証による確認といった手順を踏めば判定変更に何ら問題はありません。ただアマチュア野球では数ミリ単位やコンマ何秒という精度までをも求める必要はないと思います。要は明らかな誤審と見える判定のみに適用する。これで十分ではないでしょうか。

PROFILE
やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。
よく分かる!ルール教室

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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