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山崎夏生のルール教室

走者が守備者の視界を遮り 守備妨害が適用されるケースは?/元パ・リーグ審判員 山崎夏生に聞く

 

5月20日の日本ハムソフトバンク戦[エスコンF]、6回裏無死一塁の日本ハムの攻撃で、石井一成が放った打球は二塁へ。牧原大成が捕球しようとしたところ、牧原の目の前で一塁走者の吉田賢吾が打球を避けようとジャンプしたが守備妨害に。これに対し新庄剛志監督はリクエストしたが、リクエスト自体が受け付けられなかった


【問】前回の当欄で、走塁妨害は直接に守備をしていない野手が走者に接触したり、走路を塞いだりする行為のほかに、タッグアップやバントなどで進塁を試みる際に野手が視界を遮る行為でも適用されると初めて知りました。ならば逆に走者が守備者の視界を遮る行為にも守備妨害が適用されるのでしょうか? 打球に当たったり、守備者に接触したりしたならば仕方がありませんが、通常の走塁をしていてもダメなのですか?

【答】まさにこの質問に答えるようなプレーが、5月20日の日本ハム対ソフトバンク戦(エスコンF)で起こりました。6回裏、日本ハムの攻撃は無死一塁で、打球は一、二塁間に飛びました。一塁走者は打球を避けようとジャンプしたのですが、それが打球を処理しようとしていた二塁手の目の前だったのです。その結果、視界を遮られたためか二塁手はファンブルしてしまいました。その瞬間に二塁審判は一塁走者に守備妨害としてアウトを宣告、打者走者は一塁に進塁し一死一塁での試合再開となりました。

 この判定に新庄監督(日本ハム)はリクエストを要求しましたが、そもそも守備妨害はリクエストの対象外です。走者が打球処理をする野手の視界を遮っていたか否かは、まさに当該野手の目線からしか分かりません。すべては審判がそのプレーをどう判断したか、に委ねられるのです。「走者が(中略)打球を処理しようとしている野手の妨げとなった場合」(5.09.b.3)と見なされればアウトもやむなしです。

 ですから、走者はこういったケースでは立ち止まるか、あるいは大きく進路を変えて、野手の視界を遮らぬようにするしかありません。これも守備優先という野球の大原則なのです。ただし打球処理後、あるいはプレーに関わっていない野手に対しては走者優先です。このように状況により優先順位が変わるのですから、それを瞬時に判断する審判の存在意義がここにあり、ですね。

 ちなみに3フットレーン内(一塁線後半の四角いゾーン)を打者走者は走らなければなりませんが、これは本塁近辺からの送球に対する妨害ではなく、一塁で守備する野手の視界を遮らせないためのルールです。よってこの枠外を走っていても例えば三塁手や遊撃手の送球が大きく本塁側にそれて当たったようなミスプレーに対しては適用されません。つまり送球ではなく捕球に対しての守備妨害のルール(5.09.a.11)の対象ということです。

PROFILE
やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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