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伊原春樹コラム

必要なのは150キロ+コントロール 若竜の投球に見る、勝てる投手の資質

 

4月20日のヤクルト戦、本拠地・バンテリンドームで初勝利を挙げた高橋宏斗京田陽太[右]とともにお立ち台に上がった[写真=川口洋邦]


 ロッテ佐々木朗希があわや2試合連続完全試合、そして4月24日のオリックス戦(京セラドーム)でも5回2失点で3勝目を挙げた。打者は球速に慣れてくるものだ。ひと昔前は150キロ台のストレートを投げる投手は数少なく、剛速球に対応するのに四苦八苦したが、時を重ねるにつれて、しっかりとはじき返せるようになった。しかし、佐々木朗は160キロ台のストレートを投げ込む。打者が“160キロの世界”で力を発揮するのには、まだまだ時間がかかるだろう。

 さらに佐々木朗はただ速いだけではない。150キロに迫るフォークも操るが、ストレート、変化球の制球力も抜群だ。松川虎生が構えたミットから外れることがない。やはり、それが打者にとって厄介だろう。前回、私が太平洋時代の1973年、ロッテの八木沢荘六さんに完全試合を食らった試合に少し触れたが、ロクさんはストレートの球速は135キロ前後。当時でも決して速くはない。カーブ、スライダーをうまく織り交ぜて投球してきたが、ボールそのものを見るだけでは「いつでも攻略できる」と思ってしまう。しかし、すべての球種を精密に投げ分ける。ボール1個分の出し入れに打者は惑わされてしまうのだ。その結果の大記録達成だった。

 例えば阪神藤浪晋太郎もストレートの平均球速は今季154キロを誇る。スピードだけを見れば勢いのある剛球を投じてくる。しかし・・・

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伊原春樹の野球の真髄

伊原春樹の野球の真髄

座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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