いわゆる「松坂世代」なのだから、そろそろベテラン扱いされてもおかしくない年齢だ。それでもブラジル出身の松元ユウイチは今季、ついにブレーク。日本に来て最も充実した日々を過ごしている。この年齢からブレークしたって、いいではないか……。 取材・構成=落合修一
写真=井田新輔 バレンティンの直後を打つ 99年にブラジルから来日して以来「左の大砲候補」として開花が期待されながら、今年で15年目を迎えたユウイチ。ときどき一軍で姿を見かけても、いつの間にかファームに戻っているという繰り返しの印象が近年はあった。しかし、今季2回目(1回目は5月下旬に10日間のみ)の昇格を果たした8月下旬からスタメン五番に定着し、バレンティンの直後の打順で勝負強さを発揮している。 バレンティンのバッティングを近くで見ると、スイングの速さ、ボールを遠くへ飛ばすパワー、どちらもものすごい。マネしようとしてもできるものではありません。逆に僕はコンパクトに、バットを短く持ちたいですね。
自分が長距離打者という意識はありません。五番を打つことが多いからといって、大きいのを狙っていこうとは思っていませんね。意識しているのは、強い打球を打つことだけです。
今は自分に結果が出ているからいいですが、バレンティンの後の五番って、普通に考えたら嫌ですよね(笑)。やっぱり得点圏に走者がいると勝負を避けられて、五番に回ってきますから。でもそこは逆に、チャンスと考えるようにしています。バレンティンが歩かされた後は、初球でストライクを取りに来る可能性が高いので、甘い球が来たら一発で仕留めようという気持ちはあります。
▲本人は長打への意識はないというが、現状のヤクルト打線において、バレンティン以外の打者で最も大きいのを打ちそうな雰囲気を持っているのがユウイチだ(写真=大泉謙也)
交流戦のときだったかな。新聞に載っていた野村(克也)さんの評論記事を後輩に読んでもらったら、「畠山(和洋)選手と川端(慎吾)選手がチャンスのときにファーストストライクの甘い球を振らず、ボール球に手を出すから点が入らない」とあったので、それを聞いてから、自分はファーストストライクの甘い球を逃さないように心がけています。
得点圏打率が高いですか(.333=9月22日現在)。とにかく打てるボールを打つことに集中しているからですかね。実は今年は、それほど焦っていないんです。去年までは結果欲しさにボール球に手を出して、二軍に戻されて後悔する。その繰り返しでした。しかし、今年は...
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