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本誌編集長コラム

野球の魅力を!

 

 個人的にプロ野球の試合で最も古い記憶は1983年の日本シリーズだ。巨人西武による頂上決戦。逆転に次ぐ逆転で名勝負となったシリーズだが、第7戦の7回、無死満塁から西武のテリーが左中間に放った二塁打で、逆転のホームを踏んだ一走・大田卓司の激走が今も脳裏に焼き付いている。

 西武が2点リードされて迎えたラッキーセブンの鮮やかな逆転劇に至る過程も忘れられない。このシリーズ2勝を挙げるなど得意のシュートで西武打線を苦しめていた先発・西本聖を攻め立て無死一、二塁のチャンス。打席には大田。

 必殺仕事人の異名を取る勝負強き右打者の頭に浮かんだのは「送りバント」。広岡達朗監督の考えも同様。以心伝心も、大田はバントに失敗する。しかし、4球目を打ち返し、投手強襲安打。西本が打球に対して下からすくい上げるのではなく、上から押さえ込むようにグラブを出したてはじいたのが明暗を分けた。一塁ベースに走り込んだ大田は「これで勝てると思った」という。そして、日本一を決めるホームイン。

 当時10歳の少年を野球の虜にさせた日本シリーズは激闘の歴史で彩られている。今年の日本シリーズは阪神ソフトバンクの顔合わせとなった。03年以来の対決(ソフトバンクはダイエー)だが、そのときはホームチームがすべて勝利する内弁慶シリーズとなり、ダイエーが4勝3敗で頂点に立った。2014年の頂上決戦でも極上の戦いで、野球の魅力を届けてもらいたい。(編集長・小林)
野球の風

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週刊ベースボール編集長の編集後記。球界の動きや選手に対して編集長が思いをつづる。

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