ペナントをつかむには何度も壁を乗り越えなければいけない。1998年、38年ぶりのリーグ優勝を飾った横浜(現
DeNA)も同様だった。9月9日の
ヤクルト戦(横浜)から3連敗。この3試合の総得点はわずか5点と、猛威を振るっていたマシンガン打線は見る影もなかった。2位
中日も追い上げてくる。選手たちにもプレッシャーが襲い掛かる。ズルズルと後退しそうな雰囲気に包まれたとき、
鈴木尚典がキャプテン
駒田徳広に願い出た。優勝経験のある駒田らに、チームを鼓舞してほしいと――。
13日の
阪神戦(横浜)の試合前、駒田はロッカーに野手を集めて、「とにかく5回までに何としても3点取ろう」とゲキを入れたという。この試合、得点圏に走者を進めながら得点を入れられなかったが、4回二死から
波留敏夫が先制3ラン。勢いを吹き返したマシンガン打線はその後打ちまくり、11対0の完勝。沈滞ムードを一掃し、優勝へ再加速した。
今年の混戦セ・リーグを勝ち抜くには、やはり優勝経験者が貴重な存在となるのは間違いない。DeNAにはVを知る男が数少ないが、そのハンディを乗り越えることができるだろうか。